移動販売・キッチンカー参入者は年々増加傾向にあり、人気のある仕事になりつつあります。
ですがせっかく開業のチャンスをものにできても、失敗し廃業に追い込まれるのではあまりにもったいないですよね。
そこでこの記事では、移動販売で多くの方が失敗しやすいポイントとして下記の6つをご紹介しています。
- 出店場所がない
- 利益が出ない
- LPガスが買えない
- 営業許可がとれない
- フランチャイズの加盟で失敗
- キッチンカー製作費をかけすぎた
この6つに関する説明はのちほどゆっくり行いますので、かならず最後まで読んでいただきたいのですが、これらの失敗はじつは移動販売の本質的な失敗原因ではないんですね。
あらかじめ知っていれば回避できるような表面的な失敗です。
キッチンカーで廃業に追い込まれる人のもっとも致命的な原因はほかにありますので、まずはその点について解説しておきます。
なお、コロナ禍において移動販売で成功するために
- (コロナ時代における)移動販売業界の将来性
- 移動販売のメリット&デメリット
- 移動販売で成功する7つの方法
- 移動販売で成功するための10の開業手順
の4つのポイントをまとめた記事も公開済みです。合わせてご参照ください。

移動販売で廃業する人の致命的な原因

結論から申し上げますと、移動販売で失敗する根本的な理由としては移動販売を専業にしてしまうこと。
これにつきます。多くの方が、
- 個人事業主として収入を得たことがない。
- (自分で作った)食べ物を人に売ったことがない。
という状況にもかかわらず、
- 数百万円の開業資金を投じる
- 脱サラして確実な収入源を断つ
というあまりにも無謀な状態から移動販売をスタートされるんです。
なかには夫婦で移動販売を開業したいという方までいらっしゃいますが、これってあまりにもリスキーだと思いませんか?
なにか一つでも『確実に』収入につながる要素があればいいのですが、この状態を見る限り、何もありませんよね。
このあまりにもリスキーな開業スタイルこそ、移動販売で失敗する人の最大の原因になっているのです。
わたし自身も痛感した「見込みの甘さ」


テント販売(露店販売形式)のクレープ移動販売店の出店風景
わたしはキッチンカーを製作する前に、テントでのクレープ販売の経験が5年ほどありました。
その間に商品づくりは完了していましたし、ファンになってくださるお客さんの獲得にもある程度成功していたと自負しています。
出店する場所も確保できていました。
そこからもっと効率よく移動販売に専念したいと思い、キッチンカーでの開業へと切り替えたわけですが、実際の販売はけっして思い通りにはいきませんでした。



5年の販売経験・個人事業主の経験があった私でも、当初の見込みはそうとう甘いものになっていたといわざるを得ません。
もちろん、当時のわたしよりも販売力のある方はたくさんいらっしゃると思います。
ですが「とりあえず移動販売1本で生活していけると確信できてから専業にする」というのでも、遅くないのでは・・・?というのが私の経験から言えるアドバイスです。
いまはいろんなところで「キッチンカーの開業セミナー」が開催されていますので、ひとまずそういうところに出向いて、いろんな先輩方の意見も聞いてみてください。
順風満帆で何の障害もなく成功されている方なんて、ほとんどいないと思いますよ。
移動販売を副業(or複業)で始めることのメリット



はじめて個人事業主になるあなたは、多かれ少なかれ必ずどこかで失敗します。
(もちろん私もその失敗を経て今に至ります。)
ましてや移動販売は出店する地域によってもかなり事情が違ってくると思いますので、それぞれのオーナーが失敗しながら、実践の中で学んでいくしかないのが実情です。
そんな状況で、たとえば毎月10万円でも安定した収入があればどうでしょうか。
それらの失敗を修正する時間的なゆとりが生まれ、圧倒的に移動販売を続けやすくなります。
このように、移動販売を副業としてスタートすることで得られるメリットは「失敗を修正するための精神的・時間的なゆとり」です。
移動販売で絶対に失敗したくないと思われる場合は、是非副業スタイルでキッチンカーを始めるようにしてください。
移動販売で陥りやすい失敗6つ
以上、移動販売を『副業』で始めることがいかに重要なのか、お分かりいただけたと思います。
この大前提を理解したうえで、先にご紹介した
- 出店場所がない
- 利益が出ない
- LPガスが買えない
- 営業許可が取れない
- フランチャイズの加盟で失敗
- キッチンカー製作費をかけすぎた
の6つの失敗原因についても、かならず知っておいていただきたいところです。
前述のとおり、これらの失敗の原因は事前に知っていれば回避できるものばかりですので確実に抑えておいてください。
移動販売開業の失敗例①|出店場所がない
まず移動販売という販売形態では、キッチンカーを製作しただけでは営業することができません。
なぜなら、移動販売は出店できる場所があって初めて販売できる営業形態だからです。
過去には、
いうご相談の電話をいただいたことがありましたが、正直準備不足と言わざるを得ませんね。
開業前に数カ所は出店場所を確保しておくこと
またこちらのブログには、
キッチンカーオープン1年以内で挫折閉店される方が、1割以上おられます。殆どは、出店場所が原因です。
イベント頼りか、探せない方が多いです。出店場所は自分だけの出店場所を、何とか1カ所は確保した方が良いですヨ。
と書かれています。
このように移動販売で出店場所を見つけられるかどうかは、その後の成功に直結する重要なポイントです。
出店場所の探し方の記事を参考にしつつ、必ず開業前にいくつか出店場所を確保できるようにしておきましょう。


実績を積み重ねることが出店場所拡大の秘訣
ただし開業前に確保した出店場所というのも、結局は実際に出店してみなければどの程度の売上が立つのか分かりません。
出店経験を重ねて自分のキッチンカーを知ってもらいながら、出店場所を拡大していくしかないのです。
つまり「運転資金や当面の生活費をどのように確保するのか」、という問題はキッチンカー開業初期には常に突きつけられる課題だということ。
ここでもやはりキッチンカー以外の収入源を持つことが重要になってくるので、かならず考えておいてください。
移動販売開業の失敗例②|利益が出ない
つぎにご紹介する失敗のポイントとしては、「利益を見越した経理」ができないという問題です。
移動販売といえども、どんぶり勘定でやっていけるような甘い世界ではありません。
- どんな商品をいくらで何食販売するのか
- その販売にかかる原価はいくらなのか
- その販売に必要な経費はいくらなのか
- 手元に利益がどのくらい残るのか(残したいのか)
についてしっかりと経営の舵取りをするのが、個人事業主としての基本です。
最初は難しいかもしれませんが、こちらの記事↓を参考にしつつ移動販売の基本的な経営に必要な知識は身につけておきましょう。


移動販売開業の失敗例③|LPガスが買えない



キッチンカーの開業にまつわる失敗で、意外にも多いのがLPガスの問題です。
と、キッチンカー製作後に私に相談メールを送られた方がいらっしゃいましたが、当然キッチンカーが完成してからこの事実に気づいたのでは遅すぎます!
必ずキッチンカー製作前に、最寄りのガス屋さんに確認しておいてください。
ガスを購入するための具体的な方法については、こちらの記事↓で詳しく解説しています。


移動販売開業の失敗例④|営業許可が取れない
失敗例の4つ目は営業許可が取れないというものです。
キッチンカーを開業する上で、「営業許可」が必須要件だということはみなさんご存じだと思います。
ですが保健所の求める許可要件をキッチンカーの狭いスペースの中で完璧にクリアしなければならないため、ある意味店舗以上に許可が取りづらくなる可能性があるのです
たとえば営業許可を取るためには
- キッチンカーとは別に営業許可のある「仕込場所」が必要になる可能性がある
- 日本全国共通の許可ではなく、出店エリアごとの許可取得が必要
- 軽自動車では1種類のメニューしか販売できない可能性がある
など、保健所ごとに定められた条件をクリアする必要があります。
その結果、
という失敗事例も多く見受けられるのです。
移動販売の開業に必要な営業許可取得の方法についてはこちらの記事で解説していますので、読んでいないかたは必ずお目通しいただきたいと思います。


あなたの思い描く開業がその通り実現できるかどうか、必ず保健所に確認してから準備に取り掛かりましょう。
移動販売開業の失敗例⑤|フランチャイズ加盟で失敗
また移動販売をフランチャイズで開業する場合にも注意が必要です。
これまでに見聞きしたフランチャイズ体験談によると、不満を感じている方少なからずいらっしゃるからです。
このように一部のフランチャイズ契約で、失敗したと感じている人がいらっしゃることは事実です。
よってフランチャイズに加盟する場合は、必ず加盟先の話や契約書の中身をよく確認してから決断するようにしてください。
ちなみに、フランチャイズ選びで失敗しない方法についてはこちらの記事で解説済みです。
現状のフランチャイず会社を一挙にまとめてご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


移動販売開業の失敗例⑥|キッチンカー製作が高額すぎ
最後はキッチンカー製作に関する失敗事例です。
キッチンカーに保健所の許可に見合う設備を搭載しようとすると、どうしても高額になってしまいがちです。
製作費用が高額になりすぎると、その後の運転資金に余裕がなくなってしまい長続きする移動販売ができません。
このことを考えると全てをキッチンカー製作会社に任せるのではなく、自分でできるところはDIYで自作するという方法も取り入れることが重要だと思います。


さらに、最近は中古車市場にも手頃な価格で内装設備まで完備されたキッチンカーが出回るようになってきました。
こちらの記事↓では安く購入できるキッチンカー車種や、中古キッチンカーの相場もご紹介していますので、いろんな車種を比較検討したうえで選ぶようにしましょう。


移動販売の廃業体験談
さてここからは、キッチンカーの開業から廃業いたる経緯についてQ&A方式でお伺いした内容についてご紹介しておきます。
この方は友人と2人で開業されたこともあり、最終的にはかなり揉める形で、後味の悪い廃業になってしまったとのことでした。
このサイトで公開することを快く了承してくださったので、廃業体験の一例として参考にしてみてください。
Q1|初期費用(車両本体費用も含む)を教えてください。
車両代とか許可とかもろもろで約350万 その他の初期費用は当時あまり計上してませんでした。 (その他では10〜15万くらいですかね〜^_^;)
Q2|商材は何ですか
ドーナツ、たこ焼き(揚げタコ)、弁当、コロッケ、ハンバーガー などなど。結構いろいろとやってました。 (販売先のリクエストに合わせるって感じです)
Q3|主な出店先を教えてください
スーパーや市場の前、パチンコ屋の前、週末や特別期間でのイベントなど
Q4|開業されたきっかけ、動機、理由は?
人と触れ合う商売がもともと好きだったからですかね。 あとは当時店舗でも商売してたんですけれど、あまりお客さんが来なくて 移動販売なら人のいるところで商売ができるかなぁっと思ったからです。
Q5|開業で一番苦労された点を教えてください
販売先、特に平日での販売先を探すのにとても苦労しました。 あとはお金をどう回すか、下手だったんで最終的に閉店しましたけど(笑)
Q6|開業してみて感じたことを教えてください
そんなに甘くはなかったってことでしょうか(笑)
店舗営業と比べてどうだったかといえば ・後片付けが大変 ・仕入れ(特にイベント)の読み ・日々の販売と新規販売場所探しなどの営業との両立 ・新商品(季節に合わせた)で移動販売でも可能なものを作る
ここら辺はやってみて苦労したかなぁって思います。 (まだまだありそうですけど、とりあえず思いつき)
Q7|開業~撤退されるまでの期間はどのくらいですか?
約3年ほど。
Q8|「こうすればよかった」と後悔されたことは?
思考的に 「人がいるところに行けばもっと売れるかもしれない」 と思ってましたが、その精神が良くなかったのかもしれません。
「行くお店にも喜ばれて、人が集まるような移動販売」 を目指すべきだったと思います。
まとめ|移動販売で失敗しないためには
以上が、移動販売で失敗しやすいポイントとなります。
ご紹介したように、
- 出店場所がない
- 利益が出ない
- LPガスが買えない
- 仕込場所が確保できない
- フランチャイズの加盟で失敗した
- キッチンカー製作費が高額すぎる
の6つのポイントは、多くの方が陥りやすい失敗例です。
おなじ失敗をしないためにもこの6つのポイントはかならず抑えつつ、「いかに長続きさせるか」を考えた開業を目指してください。
またこのサイトでは移動販売で成功するために必要なポイントについてもまとめていますので、合わせて読んでみてくださいね。


それではまた☆